受験生小論文の問題で数学が出てきて戸惑いました。どの能力を読み取り、どんなミニ試験を作ればよいですか?
2024年度の慶應SFC環境情報学部小論文は、過去の問題が測る能力を読み取り、その能力を確かめる新しいミニ試験へつなぐのが要点です。
なぜなら、設問1・2で挙げた能力と自分の思考の特徴を、設問3の試験内容と評価方法で具体化する必要があるからです。
各設問の読み方、構成メモ、当塾の答案例を順に解説します。
原問題は東進の大学入試問題過去問データベースで確認できます。閲覧には会員登録と過去問データベースの利用登録が必要です。
2024年度環境情報学部の問題については、こちらの動画でも解説しています。
この記事の要点
- 設問1・2:題材と解く作業を比べ、共通する能力を説明する。
- 設問3:能力・出題意図・試験内容・評価方法を一つにつなげる。
- 答案の確認:条件と根拠を照合し、不足を補って次へ活かす。
慶應SFC環境情報2024年度小論文の問題と設問のつながり


まず、各設問で書くものを確認します。設問1・2で読み取った能力が、設問3の出題意図と試験案へどうつながるかを見ていきましょう。
設問ごとの解答欄と条件を確認する
欄ごとに、答える作業と字数を分けて確認します。
設問1・2では能力を読み取り、設問3-1ではその能力と出題意図を示します。設問3-2では、実際にどんな試験を行うかを説明します。
解答条件の一覧
次の表では、七つの記入欄と、各欄で求められる作業を見比べます。
| 解答欄 | 求められた作業 | 問い・解答形式 |
|---|---|---|
| 設問1 | 共通する領域・構造・求められた知的能力を説明 | 文章・300字以内 |
| 設問2 | 3件に共通する構造と知的能力を説明 | 文章・300字以内 |
| 設問3-1① | 設問1で述べた能力を短く名付ける | 短い語句・数文字から20文字程度 |
| 設問3-1② | 設問2で述べた能力を短く名付ける | 短い語句・数文字から20文字程度 |
| 設問3-1③ | 自分の思考の特徴を短く示す | 短い語句・数文字から20文字程度 |
| 設問3-1④ | ミニ試験の出題意図を説明 | 文章・300字以内 |
| 設問3-2 | 資料・活動・評価の仕組みを具体化 | 文章・図や絵の併用可 |
設問3-1④は「何を、なぜ測るか」、設問3-2は「どう実施し、どう確かめるか」を担当します。先に役割を分けておくと、同じ説明を二つの欄へ書くのを避けられます。
設問3-2は、指定された解答欄で試験内容を具体的に説明しましょう。文字は1マス1文字を目安に記入し、図や絵も使えます。
過去問題の分析からミニ試験の設計へ進む
能力名を、受験者がする作業へ置き換えます。
なぜなら、設問3は、前の二問で読み取った能力と自分の思考の特徴を、実際に発揮できる試験へ具体化する課題だからです。
例えば、「複数の見方を比較する力」を挙げたら、異なる立場の意見を比べる作業を用意します。「条件から推論する力」なら、制約を組み合わせて答えを決める作業が考えられます。


能力を挙げたら、その力が表れる作業まで示しましょう。その作業で何が記録に残るかまで考えると、後の評価方法へ進めます。



設問3を考える前に、設問1・2の最後の一文を見てください。そこで挙げた能力が、試験中のどの行動に表れるかを言えると、提案がつながります。
慶應SFC環境情報2024年度設問1の解答例と解説


設問1では、三つの小論文が扱う題材と、受験者にさせている作業を分けて読みます。その比較から、共通する領域・構造・知的能力を300字へまとめます。
過去問題1〜3の題材と要求された作業を比べる
題材と、答えるための作業は分けて読みます。
なぜなら、題材だけをまとめても、受験者がどんな思考を働かせて答える問題かまでは説明できないからです。
原問題p5〜10では、過去問題1〜3の問題抜粋、解答例、要旨・ポイントを一組ずつ読みましょう。まず、何を論じる問題かと、どのように自分の考えを示す課題かを確認します。
三つの題材の違いと、求められた作業を分けると、次のように整理できます。
| 過去問題 | 題材(テーマ) | 求められた作業 |
|---|---|---|
| 過去問題1 | 科学の知と、多様な知の捉え方 | 異なる論点を踏まえ、知の位置付けと今後のあり方を考える |
| 過去問題2 | 知識と情報の関係 | 各論点を関係付け、社会での知識と情報の関係を論じる |
| 過去問題3 | 不確定な社会への知的な構え | 複数の見方を踏まえ、先の見えない状況への姿勢を論じる |
過去問題1では、科学の知の働きを、身体や経験、他者との関わりを含む知と合わせて考えます。一つの知の捉え方を広い関係の中へ置き直すことが、読み取りの手掛かりになります。
過去問題2では、情報を受け取ることと、それを解釈して判断することの関係を見ます。情報が増える社会をどう考えるかという論点から、知識のあり方を検討しています。
過去問題3では、先を予測し切れない状況で、どのような知的な構えを持つかを考えます。秩序や法則を求める見方と、不確定な状況への向き合い方を関係付けることが大切です。
題材の違いを確認した上で、三問に共通する思考の作業を探しましょう。自分が選んだ共通点が、一問だけでなく三問すべてに当てはまるかを確かめます。
領域・構造・知的能力を構成メモから300字へまとめる
領域・構造・能力を、根拠の順につなげます。
なぜなら、能力名を先に決めるより、資料が扱う問題と求められた作業から考える方が、その能力を挙げる理由を説明できるからです。
設問1の構成メモ
- 領域:知や認識のあり方と、人間・社会との関係。
- 構造:複数の論点を踏まえ、自分の考えを組み立てる。
- 能力:見方を比較し、その前提を問い直して、根拠とともに説明する。
能力名の前に、その能力が必要になる作業を置きましょう。「批判的思考力」と書く場合も、何の前提をどう確かめる力なのかまで示すと、意味が具体的になります。
構成メモの作り方から確認したい方は、書き方ガイドの構成メモを作る手順をご覧ください。
当塾の答案例
共通する領域は、知や認識のあり方と、それを用いて人が世界や社会にどう向き合うかという問題である。三問とも、科学の位置付け、知識と情報の関係、不確定な社会への構えについて、複数の論点を踏まえて自分の考えを組み立てる構造を持つ。求められるのは、与えられた見方の共通点や相違点、その前提や限界を比較する力である。さらに、一つの枠組みを当然視せずに捉え直し、資料の内容を根拠に、自分がどう考えるかを筋道立てて説明する力も問われる。資料を理解することと、そこから独自の見方を構成することを結び付ける能力が、三問に共通している。
答案の各文を三つの問題の根拠と照合する
共通点を述べた文には、それを支える問題の作業が必要です。以下では、答案の一文ごとに、どこを根拠にしたかを確認します。
1文目では、三問を一緒に説明できる領域を定めています。科学・情報・不確定性という題材名を並べるだけでは、共通点を答えたことになりません。
知や認識を通じて世界に向き合う問題として包み、後の構造と能力を説明する土台にしています。
2文目は、その領域で受験者が何をするかを示す文です。p5・7・9の問題抜粋で求められる作業を比べ、資料の論点から自分の考えを組み立てるという共通性を取り出しています。
領域の説明だけでは抜ける、出題の構造を補うためです。
3文目では、作業の共通点を能力へ言い換えています。複数の論点を踏まえて論じるには、その見方の違いや前提を比べる必要があります。
問題でさせている作業から能力を導くと、能力名に根拠が付きます。
4文目は、比較した後に自分の判断をどう作るかを補っています。例えば、科学の知を他の知との関係へ置き直すように、与えられた枠組みを見直す働きが要ります。
比較する力だけでは説明し切れない、自分の考えを論じる過程まで含めるための文です。
5文目で、資料理解と独自の見方を結び直しています。前の二文で能力を挙げたまま終えると、それらの関係が見えにくくなります。
理解した内容を使って自分の見方を構成する、とまとめることで、三問に共通する一続きの働きを示せます。
別の能力名を選ぶ場合も、三問すべての要求作業から、その名前の意味を説明できるかを見ましょう。言葉の一致より、何を根拠にどの働きを捉えたかを比べてください。
自分の答案で試すチェック
- 領域が三問すべてを含む説明になっているか。
- 資料を踏まえて自分の考えを述べるという構造を示したか。
- 挙げた能力が、問題で求められた作業から導かれているか。
三問の要約で終わらず、共通点を導いた理由を説明しましょう。



共通点を一つ決めたら、三つの問題それぞれに戻って確かめてください。一つにしか当てはまらない言葉なら、共通点の広さを調整する手掛かりになります。
慶應SFC環境情報2024年度設問2の解答例と解説


設問2では、掲載された三つの数学問題の解法を比べます。最初の手掛かりから、条件を使って次を決める流れを読み、共通する構造と能力を300字へまとめます。
過去問題4〜6の解法に共通する推論を読む
最初の手掛かりと、その後の推論を追います。
なぜなら、三つの解法には、制約や関係を使って未知の部分を順に絞る進め方が見られるからです。
原問題p11〜13では、問題の設定と掲載された解法を一組にして読みます。「何が分かったから、次が決まったか」を、解法の各段階へ書き添えてみましょう。
三つの解法の手掛かりを、次の表で比べます。
| 過去問題 | 手掛かりになる条件 | そこから進む推論 |
|---|---|---|
| 4:配置 | 属性の重複を避ける条件 | 既知の配置から候補を絞り、決まった部分を他へ使う |
| 5:巡回経路 | 通れる道が限られる地点 | 必ず通る接続を決め、残る候補を絞る |
| 6:流入と流出 | 全体と部分で成り立つ量の関係 | 求まった量を別の関係へ使い、順に未知の量を決める |
配置問題では、既に置かれた属性と、重複させられない条件から、空いている位置の候補を絞ります。一つ決まると、その結果を使って別の位置も考えられます。
巡回経路では、全ての都市を一度ずつ訪れて出発点へ戻る条件に注目します。通れる道が少ない地点から必要な接続を考え、残る経路の候補を減らしていきます。
流量の問題では、全体から入る量と出る量の関係を押さえ、部分ごとの流入・流出へ進みます。求まった量を別の関係へ使うことで、さらに未知の量を求められます。
題材が違っても、条件から候補を絞る進め方を比べましょう。計算を追うときも、その計算が使える根拠となる条件へ戻ると、設問2の説明へつながります。
共通する構造から300字の答案を組み立てる
「論理的思考力」を、条件から推論する動作で説明します。
なぜなら、能力の名前だけでは、三つの解法のどの部分を捉えたかが伝わらないからです。
設問2の構成メモ
- 構造:具体的な状況を条件や関係へ整理する。
- 解法の進め方:確かな部分を手掛かりに、次を決める。
- 能力:推論を繰り返し、全体の条件と矛盾しないかを確かめる。
能力名だけで止めず、解法のどの過程に表れるかを示しましょう。この順番なら、個別の数学問題を詳しく解き直さなくても、共通する考え方を説明できます。
当塾の答案例
三問は、具体的な状況を、配置や接続、量の関係として表し、複数の条件を同時に満たす答えを求める構造を持つ。配置では重複を許さない条件、経路では通れる道の少ない地点、流量では全体と部分の収支が手掛かりになる。求められるのは、情報を条件として整理し、既に確かな事実から次に決まる部分を導く推論の力である。さらに、得た結果を他の条件に用いて候補を絞り、同じ手順を繰り返して全体の整合を確かめる力も要る。個別の計算をこなすだけでなく、条件同士の関係を見抜き、理由のある順序で解決へ進む能力が問われている。
答案の各文と条件整理・推論の流れを確かめる
条件を整理することと、根拠から次を決めることを分けて説明します。答案の各文を、問題の構造と推論の動作へ戻して読みましょう。
1文目では、数学の題材名から問題の構造へ進んでいます。配置・接続・量は違っても、複数の条件を同時に満たす答えを求める点は共通します。
この一文で比較の軸を作ると、計算の種類の紹介で終わらずに済みます。
2文目は、共通点を三つの解法で確かめるための根拠です。p11の重複条件、p12の接続、p13の流入・流出から、それぞれ最初の手掛かりを選びます。
どれか一問にしか当てはまらない能力名を挙げていないかを、この文で確かめられます。
3文目では、手掛かりを使う動作を能力として説明しています。「論理的思考力が必要」と名付けるだけでは、解法のどこを捉えたかが分かりません。
確かな事実から次に決まる部分を導くと書くことで、条件と判断のつながりを示せます。
4文目は、一つ決めた後も推論が続くことを補っています。配置や接続、量が一つ求まると、その結果が別の判断の手掛かりになります。
この反復を入れると、一度のひらめきだけでなく、全体の条件に合うまで進める力を説明できます。
5文目では、三つの具体例を一つの能力へまとめています。計算結果の紹介へ戻らず、条件の関係を見て順序を選ぶ働きで締めます。
構造を述べた1文目と対応させることで、なぜその能力が三問に共通するかが伝わります。
別の能力名を挙げる場合も、三つの解法で、その力がどこに表れるかを説明しましょう。条件の使い方を具体的に示せれば、能力名だけを暗記する練習から、自分で共通点を導く練習へ進めます。


例えば、巡回経路を「全ての道路を一度通る問題」と読んでしまうと、出発点となる条件が変わります。能力を説明する前に、何を一度ずつ訪ねるのかを原問題で確かめることが大切です。
自分の答案で試すチェック
- 共通する条件や関係の構造を示したか。
- 条件から次を決める推論の動作を説明したか。
- 三問のどの場面が根拠になるかを一つずつ指せるか。
数学の題材紹介で終わらず、推論の順番を説明しましょう。



解法を読み返すときは、計算結果より「次の一手を選んだ理由」に印を付けてください。その印を三問で比べると、共通する考え方を言葉にしやすくなります。
慶應SFC環境情報2024年度設問3-1の解答例と解説


ここからは、能力を読み取る側から、測る試験を作る側へ移ります。三つの短い欄と出題意図の欄を分け、同じミニ試験を説明する準備をしましょう。
①②の能力と③の思考の特徴を短く示す
①②は前の答案と意味をそろえ、③は思考の動作で示します。
なぜなら、設問3のミニ試験では、設問1・2で述べた能力に加え、自分の思考の特徴も発揮できるようにする必要があるからです。
三つの欄の当塾答案例
①:設問1で説明した能力
複数の見方を比較し捉え直す力
①は、設問1の比較と前提の捉え直しを引き継ぐ表現です。「批判的思考力」のような名前だけにすると、試験で何をさせるかが曖昧になります。
見方を比べて捉え直す、と動作を残し、利用者の意見を比較する活動へつなげています。
②:設問2で説明した能力
条件を整理し順に推論する力
②は、設問2の解法に見られる判断の順番を残しています。「数学が得意」という題材の紹介では、能力を別の試験で測る方法へ移せません。
条件を整理して順に導く動作へ言い換えると、配置の理由を記録する試験につなげられます。
③:自分の思考の特徴
試作して考えを修正する力
③は、完成案だけでは見えない考え直し方を、この作例の特徴に選んでいます。そこで、設問3-2には試作と追加条件の前後を比べる場面を置きます。
自分の特徴を挙げる場合も、その言葉が試験中のどの判断に表れるかまで考えましょう。
名前を変えても、前の答案で説明した能力の意味は保ちましょう。③は、自分が何かを考えるときの動作として説明できるかを確かめてください。
④の出題意図を300字以内で説明する
出題意図では、測る力と、その力を確かめる理由を示します。
なぜなら、実施手順の説明だけでは、なぜその題材や作業によって能力を確かめたいかが伝わらないからです。
出題意図の構成メモ
- 測る思考:比較・条件からの推論・試作からの修正。
- 題材を選ぶ理由:共有空間には、異なる希望と、同時に満たす配置条件がある。
- 観察する過程:比較メモ、配置の理由、追加条件の前後の記録を個人別に見る。
試験の名前だけでなく、二つの能力と自分の思考の特徴が必要になる理由を書きましょう。細かな時刻や判定の数字は、次の設問3-2で説明します。
当塾の答案例
異なる立場の根拠を比べ、制約から妥当な案を導き、試作を通じて考えを修正する過程を確かめたい。共有空間では、静かに学びたい人と対話したい人の希望が競合し、面積や通路の条件も同時に満たす必要がある。そのため、利用者の意見を比較する力と、条件を整理して推論する力の両方が表れる。さらに、全員へ同じ追加条件を示し、案を変更または維持した理由を説明させることで、試作から問題に気付き、考えを更新する特徴を捉える。最終作品とともに比較メモや変更前後の記録を評価し、一人ひとりが考えた根拠と過程を確かめる。
出題意図の各文と試験内容の対応を確認する
活動と成果物を決めると、何を測る試験かが具体的になります。答案の各文を、①②の能力と③の特徴へ対応させて読みましょう。
1文目は、前の三つの欄を試験の目的へまとめる文です。比較・推論・修正を先に示すと、後の活動が何を確かめるためのものかを読者が追えます。
新しい能力をここで足すのでなく、設問1・2と自分の特徴を引き継いでいます。
2文目では、共有空間という題材を選ぶ理由を示しています。希望の対立だけなら意見の比較に偏り、配置条件だけなら推論に偏ります。
異なる希望と面積・通路の制約を組み合わせ、二つの能力が必要になる場面を作るためです。
3文目は、題材と測る能力の間をつなぐ説明です。共有空間の課題がある、と述べただけでは、なぜ能力が表れるかは伝わりません。
意見を比べる作業と、条件を両立させる作業を、それぞれ比較と推論へ対応させています。
4文目では、修正する力が見える場面を用意しています。完成案だけを見ると、初めからその案を思い付いたのか、試して考え直したのかを区別できません。
追加条件の前後と、変更・維持の理由を残すことで、③の特徴を確かめる手掛かりができます。
5文目は、活動を評価できる記録へ結び付ける文です。同じ完成案でも、比較した内容や配置の理由は人によって異なります。
個人のメモと変更前後の記録を見る、と示すことで、作品だけでは分からない思考を確かめる目的が伝わります。
出題意図に挙げた思考が、どの作業と記録に表れるかを横に照合します。
| 測る力 | 受験者の作業 | 確かめる記録 |
|---|---|---|
| 複数の見方を比較し捉え直す力 | 利用者の見方を比較する | 個人比較メモ |
| 条件を整理し順に推論する力 | 制約に沿う配置を試作する | 配置案と条件を使った理由 |
| 試作して考えを修正する力 | 追加条件から案を再検討する | 変更前後の案と変更・維持の理由 |
比較・推論・修正のどれにも、観察する場面と記録を対応させます。例えば「発表する」とだけ書いた場合は、何を話したらどの思考を確認できるかまで考えましょう。
自分の答案で試すチェック
- ①②が設問1・2の説明と同じ意味になっているか。
- ③を、試験中に見える具体的な思考の動作として示したか。
- ④の目的と、設問3-2で行う活動・評価が対応しているか。



「協働させる」「発表させる」と書いたら、その場で何を記録するかまで考えてください。活動の名前から、思考が見える行動へ一段進めるのが大切です。
慶應SFC環境情報2024年度設問3-2の解答例と解説


設問3-2では、ミニ試験を実施する様子が分かるように説明します。共通要件を確認し、5名の受験者が行う作業と、それを評価する仕組みへ落とし込みます。
ミニ試験の4要件を実施方法へ落とし込む
新しさと、能力を測れることを同時に確かめます。
なぜなら、自由に形式を選べても、受験者の能力を確かめ、選抜へ使うための試験という役割があるからです。
設問3の四つの要件は、試験案を次の観点から確かめるために使えます。
- 発揮する思考:設問1・2の能力と、自分の思考の特徴を生かす。
- 測り方:基準を満たすかを数値化するか、5名を相対的に並べる。
- 評価の仕組み:誰・何が、どの記録をどう評価するかを決める。
- 形式:既存の一般選抜・AOと全く同じ形式を避ける。
問題文の設定は、2028年2月にSFCで行うミニ試験のコンテストです。環境情報学部の1年生5名が参加し、13時に開始して、遅くとも19時までに終了します。
PC・スマートフォン・インターネット・AIは、使える道具として示されています。採用するときは、その道具を使っても、一人ずつの思考をどこで確かめるかを説明しましょう。
5名・場所・時間・公平性まで、試験の実施条件をそろえましょう。数値化と相対化は、自分の試験案に合う方を選んで具体化します。
試験の流れを構成メモと答案・図で説明する
最終案だけでなく、どの条件で考えを変えたかも記録します。
なぜなら、同じ条件から出発した個人の比較・推論・修正を残すと、前の欄で挙げた思考を、何を証拠に評価するかまで説明できるからです。
ミニ試験の構成メモ
- 概要と資料:共有空間の再設計。同じ利用者意見・配置条件・道具を用意する。
- 活動と記録:比較メモ、制約に沿う試作、追加条件の前後の案を個人で残す。
- 評価:評価者2名が、比較・推論・修正を三段階で確認する。
- 公平性:資料・道具・時間・追加条件・提出時刻・判定基準をそろえる。
試験内容は、資料・作業・成果物・評価の順で具体化しましょう。文章で試験を説明した後、活動と記録のつながりを図でも確かめます。
当塾の答案例
キャンパスの共有空間を再設計する試験を行う。環境情報学部の1年生5名がSFCの同じ会場で13時に開始し、17時に終了する。架空の空間の形と面積、利用状況、静かに学びたい人と対話したい人の意見、席数や通路の制約を示す同一資料と、同じ紙・無地パーツ・筆記具を全員に配る。
13時20分から、各自が利用者の希望の共通点と相違点を比較メモへ整理する。14時から制約を満たす配置をパーツで試作し、どの条件から配置を決めたかを記す。15時に一部の区画が使えなくなるという同じ追加条件を全員へ示す。各自が試作品の配置や通路を再確認し、変更前後の案と、変更または維持の理由、残る課題をまとめ、16時10分までに提出する。
評価者2名は、比較メモ、配置案と理由、変更前後の記録を個別に読む。評価の観点は、二者の見方を根拠から比較できること、制約から順に推論し整合を確かめられること、試作から考えを修正できることである。各観点で必要な証拠がない場合を0、比較と配置判断の関係、条件を使った推論、追加条件と修正理由がそれぞれ説明される場合を1、さらに別案や残る不都合まで検討できる場合を2とする。2名は独立に判定し、相違があれば該当記録を照合して観点ごとの最終値を決める。三観点が全て1以上なら、定めた基準を満たすと判断する。
公平性のため、資料、道具、説明、作業時間、追加条件と提出時刻をそろえ、全て個人で取り組ませる。提出物は個人番号で管理し、模型の見栄えより、比較・推論・修正の根拠を共通基準で評価する。比較、制約付き試作、条件変更への対応を組み合わせ、一度の論述だけでは表れにくい思考の過程を記録から捉える。
5名を公平に評価する仕組みと答案の各文を確かめる
評価者・観点・根拠となる記録を、個人ごとにそろえます。答案の一文ずつが、試験を成立させるどの説明を担当するかを見ていきましょう。
1文目で、三つの思考を発揮する対象を一つに決めています。比較は別の題材、推論は別の課題、と分けると活動同士がつながりにくくなります。
同じ空間の再設計を通して、比較から推論・修正へ進めるようにしています。
2文目は、案を実施できる時間と場を具体化する文です。原問題p3〜4の参加者・会場・開始時刻に対応させ、終了は17時としています。
後の活動をこの時間内へ配置できるか、読者が確かめられるようにするためです。
3文目では、受験者が考えるための材料をそろえています。利用者の意見は比較、配置の制約は推論の出発点になります。
同じ資料と道具を配ることで、思考以外の準備の差を小さくする役割も持ちます。
4文目は、比較する力を記録に残す作業です。意見を読ませるだけでは、違いに気付いたかを後から判断できません。
個人の比較メモに共通点と相違点を残させることで、①の能力を見る材料を作っています。
5文目では、配置の結果と判断の理由を一組にしています。完成した配置だけでは、偶然できたのか、条件から導いたのかを区別しにくいためです。
どの条件から配置を決めたかを書かせ、②の推論の過程を読めるようにします。
6文目は、試作品を考え直すきっかけを全員へ与える文です。初めの案で終えると、③の修正する特徴が表れる場面がありません。
同じ時刻に同じ追加条件を示し、各自の対応を比べられるようにしています。
7文目では、案を変えたかだけで評価しないようにしています。条件を検討した結果、元の案を維持する判断もあり得ます。
変更前後と理由・残る課題を提出させ、見た目の変化より、再検討した根拠を確かめるためです。
8文目は、評価する人と証拠を明確にしています。「公平に評価する」だけでは、誰が何を読むかが決まりません。
評価者2名と個人の記録を挙げ、次に示す評価観点を実際に使う場面を定めています。
9文目で、評価の観点を①②③へ戻しています。模型の巧さや発表の上手さを中心にすると、測りたい思考とは違う評価になります。
比較・推論・修正を観点に置き、試験の目的と判定の内容をそろえるための文です。
10文目は、数値と記録の違いを対応させる文です。0・1・2という数字だけでは、評価者によって意味が変わります。
証拠不足、必要な説明、別案や課題の検討を区別し、各段階を何から判断するかを具体化しています。
11文目では、評価者間の食い違いを記録へ戻します。2名が読むだけでは、判断が一致するとは限りません。
独立に判定した後、該当記録と理由を照合する手順を置き、印象で最終値が決まることを避けています。
12文目は、数値から到達判断へ進むルールです。合計だけで判断すると、ある思考の証拠がなくても別の得点で補える場合があります。
この案では三観点すべて1以上とし、それぞれ必要な説明があるかを確かめます。
13文目では、公平性を同じ実施条件に落とし込んでいます。資料・道具・持ち時間などが違えば、結果の差を能力の差として読み取りにくくなります。
個人作業と同一条件を示すことで、一人ずつの記録を比べる前提をそろえています。
14文目は、そろえた条件の下で何を重視するかを定めます。個人番号で扱い、見栄えより根拠を読むと書くことで、評価対象を思考へ戻しています。
公平性の工夫と、三つの評価観点が別々の説明にならないようにする文です。
15文目では、組み合わせた活動の意味をまとめています。比較・試作・条件変更の記録があれば、完成した文章だけでは見えない判断の過程を読めます。
活動を増やした理由を、確かめられる思考の違いから説明して締めています。
試験と評価のつながり


一つの試験でも、評価する記録は思考ごとに分けます。比較メモは見方の違い、配置案と理由は条件からの推論、変更前後の記録は修正の過程を確かめる材料です。
この答案例の三段階評価を、観点ごとに整理すると次のようになります。
| 評価観点 | 0:証拠不足 | 1:基準に到達 | 2:別案・課題も検討 |
|---|---|---|---|
| 見方の比較 | 一方の意見だけで根拠がない | 二者の相違と理由を資料へ結び、配置の判断を説明 | 選択で残る不利益も説明 |
| 条件からの推論 | 重要な制約と矛盾、または推論の理由がない | 制約に沿う配置と、条件から決めた順序を説明 | 別の配置との比較や全体の検証も示す |
| 試作からの修正 | 追加条件と変更理由が対応しない | 影響した箇所と、変更・維持の理由を説明 | 修正後の不都合や次の確認点も示す |
模型の見栄えだけでなく、比較・推論・修正の記録を確かめましょう。自分の試験案でも、何が残れば評価できるかを、観点ごとに説明してみてください。
自分の答案で試すチェック
- ①②の能力と③の特徴に対応する活動がそれぞれあるか。
- 活動の結果を、一人ずつの記録として確かめられるか。
- 評価者・観点・基準まで具体的に説明したか。
- 5名・SFC・13時開始・19時までの条件と公平性を満たすか。



「公平に採点する」という一文を、具体的な方法へ変えてください。同じ資料、同じ持ち時間、個人の記録など、能力以外の違いを小さくする工夫が説明の手掛かりになります。
自分の試験案で、活動と評価がつながっているか判断に迷う方は、当塾へご相談ください。塾長が設問と答案を照合し、補う説明とその理由をお伝えします。
慶應SFC環境情報2024年度の答案を確かめるポイント3つ


答案例を読んだら、言葉の一致ではなく、条件・根拠・設問間のつながりを比べます。足りない説明を見つけ、次の演習で確かめる点へつなげましょう。
①:解答欄と字数・ミニ試験の条件を照合する
原問題の各欄と、自分の答案の記入箇所を線で結んでみましょう。欄そのものが抜けているのか、書いた説明の根拠が足りないのかを分けて探せます。
欄と字数の一覧は、冒頭の解答条件表へ戻って確認できます。設問3は、短く挙げた能力・出題意図・実施内容が、同じ試験を説明しているかまで読み返してください。
②:資料の根拠と答案の一文を照合する
読み違いは原問題へ、説明不足は文のつながりへ戻ります。
なぜなら、資料を誤って理解した場合と、正しく理解した内容を答案で説明できていない場合では、補う作業が違うからです。
例えば、巡回の条件を取り違えたなら、p12の問題と解法を読み直します。条件を読めているのに「論理的思考力」としか書いていなければ、何を手掛かりにどう推論するかを補います。
設問3でも、試験の活動を詳しく書けたことと、その活動から個人の思考を測れることを分けて見ます。「この記録のどこを見れば、その力が表れたと言えるか」を、自分に問い掛けてください。
根拠の取り違えと、説明の抜けを分けて直しましょう。
③:不足を補い次の答案で使う視点を決める
足りない部分を補い、次に使う視点を決めます。
なぜなら、直す理由を理解して次に確かめる作業まで決めると、今回の指摘を別の答案へ活かしやすくなるからです。
添削で指摘された部分を補って、自分の答案を確認し直します。その上で、新たに得た視点を次の答案に活かしていきます。
例えば、「評価の方法が曖昧」と指摘されたら、評価者・記録・基準を補います。次の問題では、提案した活動と評価の根拠を一組にして書けたかを確認しましょう。
直した理由を、自分の言葉で一つ説明してみましょう。過去問演習を学習全体へ組み込みたい方は、SFC過去問に取り組む段階も確認できます。



次の演習には、「評価方法まで書く」のような確認点を一つ持っていきましょう。直す理由を短く説明できるかを確かめると、今回の指摘を次へつなげやすくなります。
慶應SFC環境情報の答案を磨く当塾の指導2つ


答案例との差を自分で判断しにくい方は、当塾へご相談ください。講義で考え方を補い、塾長の添削で設問・資料・答案のずれと直す理由を確かめます。
①:講義で資料の読み方と答案の考え方を補う
知識と、答案へ使う考え方の両方を補います。
なぜなら、用語を知ることに加え、資料の見方を比較し、理由を組み立てる作業も練習する必要があるからです。
当塾の65本の講義動画では、小論文の基本、SFCの過去問対策、本質理解、アイデア創出を扱います。自分の答案でつまずいた作業から、学ぶ内容を選びましょう。
- 知識の理解で迷う:知や情報、社会を捉える考え方を学ぶ。
- 資料の使い方で迷う:論点を比べ、答案の根拠として説明する方法を学ぶ。
- 案の具体化で迷う:思い付いた活動を、目的や条件と結び付ける考え方を学ぶ。
講義で学ぶ内容を、自分の答案の課題と結び付けましょう。必要な知識を学ぶインプットと、答案を書いて確かめるアウトプットを往復していきます。
②:塾長の添削で根拠と評価方法のずれを確かめる
どの条件・根拠・説明を直すのか、その理由まで確かめます。
なぜなら、自分では説明したつもりでも、資料から能力を導く部分や、活動で測る方法のずれに、書いた本人だけでは気付きにくいことがあるからです。
塾長・後川慶一が、設問・資料・あなたの答案を見比べて直接添削します。例えば、設問2で推論の動作を説明できているか、設問3で挙げた思考と個人の評価がつながっているかを確認し、直す箇所と理由を具体的に伝えます。
その理由が分かれば、原問題へ読み戻るのか、比較や判断の説明を足すのかを選べます。答案と構成メモをそろえる方法は、添削前に準備する情報をご覧ください。
添削・質問・個別授業は、必要な支援の量に合わせて選べます。現在のプラン差は次の通りです。
- ミニマム:添削は月2回。講義動画とチャット・メールの質問相談を利用する。
- スタンダード:添削は月3回。質問相談に加え、約50分の個別オンライン授業が月1回。
- プレミアム:添削は月4回。質問相談と、約50分の個別オンライン授業が月3回。



相談するときは、答案と一緒に「この作業でこの力を測れると考えた」というメモも添えてください。考えた意図と、答案から読み取れる内容の差を確かめる手掛かりになります。
自分の答案で判断に迷う方は、当塾へご相談ください。SFC特化コースで講義内容とプラン別の支援範囲を確認し、必要な添削や個別授業を選びましょう。
現在の学習状況や、答案のどこで迷っているかは、無料説明会でご相談ください。保護者の方も、指導内容や学習の進め方を確認できます。
慶應SFC環境情報2024年度小論文でよくある質問


数学問題の扱い、ミニ試験の形式、図や字数について残りやすい疑問に答えます。答案を確認するときは、該当する設問の条件へ戻ってください。
【まとめ】慶應SFC環境情報2024年度は能力と試験の設計をつなげよう


設問1・2の能力を、設問3の活動と評価へ一つずつ対応させることが大切です。
なぜなら、前の答案で挙げた能力と試験中の作業を照合すると、どこで個人の思考を確かめるかという説明の抜けを見つけられるからです。
この記事のまとめ
- 設問1:題材と要求された作業を比べ、共通する領域・構造・能力を説明する。
- 設問2:条件を整理し、確かな部分から推論を進める働きを説明する。
- 設問3:二つの能力と自分の思考の特徴を、活動・個人記録・評価へつなげる。
- 演習後:不足を補って答案を確認し、得た視点を次の答案へ活かす。
次の演習では、環境情報2025年度の要約比較にも取り組めます。別年度を選びたい方は、環境情報学部の過去問・解答例一覧をご覧ください。
答案の根拠や試験案の評価方法に迷う方は、当塾へご相談ください。SFC特化コースで講義・添削・質問・個別授業の支援範囲を確認し、現在の課題に合う指導を選びましょう。
湘南藤沢小論文アカデミーSFC特化コース
「読む力」を、「書く力」に変える。
慶應SFC卒、指導歴20年の塾長がパーソナル指導で受験まで伴走します。
塾長・後川慶一が直接担当
学び方から、答案の改善まで。










